新型コロナウィルスの感染拡大は現在も予断を許さない状況である。その影響でマスクや消毒剤のみならず、トイレットペーパーや米をはじめとした日用品・食品についても、非日常的な消費拡大が起きている。学校の休校や外出自粛を背景に、ECを通じた商品購入も増加している。CBREが行った『物流施設利用に関する意識調査』によると、そうした消費行動が物流にも影響を与えていることが浮き彫りになった。同調査では、新型コロナウィルスによる変化・または影響を、今後1-2カ月以内と中長期的に分けて聞いた(複数回答可)。

まず今後1-2カ月以内の影響については、「大きな変化はない」が22%ともっとも高かった。しかしその一方、「荷物・流通量の増加」を上げた回答が17%あった。そしてそれに呼応して、「倉庫作業員の不足」が18%、「配送従事者の不足」が13%と、いずれも高い回答率となっている。

Figure 1: 今後1-2カ月以内の変化、影響


一方、中長期的な変化・影響については、「不測の事態に備えた在庫量の積み増し」との回答が30%と、もっとも高い回答率となった。振り返ると、2011年の東日本大震災後においても、サプライチェーンの寸断を受けて在庫量の積み増しと配送網の再構築という流れが起きた。今回の「コロナショック」によってもまた、在庫量の一段の増加は必至と考えられていることが分かる。その反面、急増する荷物量に対応する人員の不足は続いており、中長期的には「庫内作業の自動化が加速」するという回答も17%ある。状況の収束後には、テクノロジー活用の動きが一段と強まることが想定される。

新型コロナウィルス感染拡大の経済活動への打撃は未知数だが、物流に関しては業界内の構造変化を加速し、物流施設需要を増加させる方向に影響すると考えられる。

Figure 2: 中長期的な変化、影響


調査対象: 物流施設を利用するテナント企業
調査期間: 3月4日から3月19日
回答数: Figure 1: 405、 Figure 2: 361 (複数選択)


お問い合わせ
 
大久保 寛
エグゼクティブディレクター
CBRE Japan Research

hiroshi.okubo@cbre.co.jp

 
高橋 加寿子
シニアディレクター
CBRE Japan Research

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